絵と言葉の一研究「わかりやすい」デザインを考える

おはようございます。今日も今日とて眠たい。コーヒーで眠った脳みそを沸騰させて、本日は仕事納めです。

東京メトロ「家でやろう」のポスターでお馴染みの寄藤文平さんの著書 絵と言葉の一研究「わかりやすい」デザインを考える という本がとても魅力的だったので書いていこうかと思います。と言っても、私はブックレビューはあまり得意ではないようで、自分の言葉をつらつらと書いてしまいそうですが。
ハードカバーなのですがページの半分は挿絵が入っているので意外とあっさりと読み終わってしまいました。内容満載だったのに、なんだかこの方の魅力を感じます。

「ヨリフジさんの絵には、紙の枠を超えて後ろに空間が広がっているように感じる」
だいぶまとめてしまいましたが、こんなことが書かれていました。この方の絵にはそもそも一枚自体の手数はあまり多くないように思います。むしろ数を減らしてスッキリと画面を見せようとしているようです。それが余計に空間を感じさせるのか、視点を引いてみると実はもっと広い世界があるんじゃないかと感じさせてくれるイラストです。先程の「家でやろう」シリーズでも、ヘッドフォンで音楽を楽しむ若者と隣で耳を塞ぐおじさんがコミカルに描かれています。だけど若者の隣にも同じように耳を塞ぐおばさんがいるようにも感じますし、若者の前でつり革に捕まっている自分がいるかもしれない。そんな風に、周りまでを想像できるような余裕があります。自分までも入り込む余地があるくらいですから。

これって実際作っている側からすると結構難しくって、まだまだ私は未熟だなあと感じてしまいます。
あれだけ説明的なイラストで、とても平面的に表現しているのに、どうしてこうも空間を感じさせてしまうんだろう。
私が映像で3D空間をわざわざ作ってその世界の一部を切り取ってアウトプットしても、なかなか空間を感じさせるには難しいです。作ったのに表現できない。奥行きを出すとか、切り取りの方法だとか、余白を空間にするだとか、受験時代に培ったデッサンの基本を注いでもなかなか上手くいきません。そんなことを考えていた私はこれに驚きました。ヨリフジさんの絵にはそんなベーシックな云々ではないんだとおもいます。だってとても平面的なんだもん。勿論基本を全く無視しているわけでもなく、その上でオリジナルを追求していると言った方がいいでしょうか。私はとても形式ばって面白くなかったかもしれない。

また「絵と言葉の一研究」というだけあって、絵が果たす役割と言葉が果たす役割に関しても書かれていました。
「りんご」と書いた横にりんごの絵を載せても、同じことを2回繰り返すだけに過ぎない、と。
当たり前な話なのですが、結構よくあるシーンです。以前花火大会のポスターをコピーライターと連携して作成した時に、私のビジュアルに対してコピーの子が「夜空に輝く大輪の花」というコピーを考えてくれたことがありました。そして私が作成したビジュアルは、夜空に花火が幾つも配置され、それを見上げる女の子のもの。「夜空の絵」と「夜空という言葉」そして「花火の絵」と「大輪の花」。本当に2回説明していました。仮に「大輪の花」だけでは花火と説明しきれていないので花火のビジュアルがあるのはいいのかもしれませんが、「大輪」なのはビジュアルで説明してしまっていました。そうゆう話をしてコピーの子には、結局女の子視点でコピーを書いて頂きましたが、こんなことは珍しくありません。

既に他社が商品化しているペットボトルでも「ジャスミン茶」という言葉と「jasmine tea」という言葉と「ジャスミンの花の写真」と「ジャスミンと書かれた判子のようなイラスト」が盛り込まれていたりします。このパターンが3つ、ペットボトルの周りをぐるっと一周していたので、500mlの容器にジャスミンが12箇所(詳細な記載を含むともっと)もありました。このお茶を見た時に、もの凄く違和感を感じましたが、要はそうゆうことなんですね。

先程のりんごに戻ります。
例えば「りんごという言葉」と「もう食べられてしまったりんごの絵」が並べば、この絵はりんごの背景を表現しているものとなります。本には他にも「夏休みが明けると彼女は別人だった」という言葉に対して様々なアプローチをした彼女の絵を描いていました。それは痩せこけた彼女だったり、ギャルになったり引きこもりになっていたり…。これだと言葉も絵も同じことに対して言っているのですが、アプローチが違います。言葉も絵も両方なければ的確に表現できません。こうゆう状況を作るのは凄く難しい…。同じことを2回繰り返した方が遥かに楽な仕事ですから。

そんなこんなで、とても衝撃だった本でした。
因みにヨリフジさんは文庫本の表紙絵の仕事で使用したイラスト案を載せていましたが、そのイラスト案が31案。胃が痛い。でも就職活動時代に某広告会社に「◯◯をテーマに100案だしてください」と言われたのを思い出して、もっと胃が痛くなりました。

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